- 販売していません
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の運動療法の目的と効果
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)に対する包括的呼吸リハビリテーション(以下,包括的呼吸リハ)に含まれる運動療法の有効性については十分に検証されており,息切れの自覚症状の軽減,quality of life(QOL)の向上,体力の向上が認められると報告されている1,2).息切れの評価は主にMedical Research Council score(MRCスコア)で行われており,QOLとしては,Medical Outcomes Study Short Form-36 Health Survey(SF-36)の評価において,身体機能の面で生活上の活動が容易になってきた,社会生活面で普段の付き合いが妨げられなくなってきたなどの面で効果がみられる.また,St. George's Respiratory QuestionnaireもQOL評価としてよく利用され検証されている.体力の向上については,自転車エルゴメータ,6分間歩行距離,酸素摂取量の評価で有効であることが示されている.一方このような臨床的改善はスパイロメトリーで示される肺機能と直結しないことが分かっている.
ところで,ここでいう運動療法は,COPDの病状が比較的安定している時期の研究成果としてみられるもので,急性増悪期の治療として施行されたものではない.また,息切れの症状がない,肺機能が保たれている軽度の人についても有効性は示されていないか否定されている.つまり対象患者は,中等症から重度で外来通院中あるいは教育入院中の者であることが多い.具体的な運動療法として,30~45分間の全身運動を週2回から3回,8~10週間施行することが推奨されているが,理学療法士(PT)管理下で施行する方法が自主トレで行うより効果が高いとされている3).さらに,運動中の酸素の利用は諸説あり,酸素を利用しない方法に比較してより有効であったとする明確なエビデンスは示されていない.運動内容として定常負荷や間欠的高負荷が試されており,いずれも有効であるが,間欠的高負荷(インターバルトレーニング)のほうが自覚的に遂行しやすく循環器系へのストレスも少ないと報告されている4).このような運動療法により骨格筋の筋線維断面積の増大も認められている.
Copyright © 2008, The Japanese Association of Rehabilitation Medicine. All rights reserved.