第45回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/横浜 《教育講演》
ガイドラインに基づく褥瘡の局所治療
宮地 良樹
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1京都大学大学院医学研究科皮膚科学
pp.651-656
発行日 2008年10月18日
Published Date 2008/10/18
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はじめに
従来は寝たきり高齢者に特有の慢性圧迫性皮膚潰瘍と考えられてきた褥瘡にこの10年で大きな地殻変動が起こった.その背景として,厚生労働省の「褥瘡対策未実施減算」施策により図らずも褥瘡が慢性期病院だけでなく,急性期病院での周手術期を中心に多く発生していることが判明したこと,創傷治癒理論の進歩を反映して,Woundbed preparation,Moist wound healingという新しい治療コンセプトが定着し,新規外用薬やドレッシング材が開発されたこと,褥瘡の治療戦略を見据えて,リスク評価,創面状態評価のツールが開発され,科学的手法に基づく褥瘡・皮膚潰瘍治療が可能となったこと,などが挙げられよう.
このような状況の変化を受けて,日本褥瘡学会では2005年に「科学的根拠に基づく褥瘡局所治療ガイドライン」を公表した1).このガイドラインには,文献渉猟によるエビデンスレベルの評価とエキスパートオピニオンを加味した推奨度の決定が行われており,まさにEvidence based medicine(EBM)に基づくガイドラインということができる.本稿では,リハビリテーション(以下,リハ)医学関係者を念頭に,このガイドラインに基づく褥瘡の局所治療を理解するために必要な基礎知識とガイドラインを読むための大まかなスキームについてまとめた.なお,ガイドラインはhttp://minds.jcqhc.or.jp/0036_ContentsTop.htmlで参照可能である.
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