特集 目でみる診療基本手技
診療手技
小外科的治療手技
褥瘡の予防と治療
是枝 哲
1
,
宮地 良樹
1
1京都大学医学部皮膚科
pp.222-227
発行日 2008年12月20日
Published Date 2008/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103705
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褥瘡は,皮膚局所への圧迫が持続し,それに伴う虚血により組織が傷害を受け,壊死を起こした状態である.一定以上の持続性圧迫が2時間以上加わると,皮膚に壊死が生じるといわれている.寝たきりで体位変換ができないような状態では,仙骨部や大転子部などの骨突出部が床上で強い圧迫を受け,容易に褥瘡が生じる.高齢化が進む現在の日本社会のなかでは,寝たきりの老人は確実に増え続けているため,褥瘡対策が重要になってくる.また,急性期病院では,長時間の手術の周術期やICUにおける褥瘡発生が問題となっている.そのため,褥瘡に対する基本的な知識をもち,治療に必要な最低限の小外科的治療手技は,是非知っておきたいところである.
本稿では褥瘡治療の小外科的治療手技について述べるが,褥瘡において最も重要なのは予防であり,いろいろな患者ケアを施行して褥瘡の発生を防ぐことが望ましい.まず褥瘡の予防について簡単に説明したあとに,褥瘡治療においてどのような手技が行われるかについて説明する.
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