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編集後記
藤田 郁代
pp.175
発行日 2022年6月15日
Published Date 2022/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.6001200383
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日増しに木々の緑が濃くなる爽やかな季節を迎えましたが,ロシア・ウクライナ戦争は社会に暗い影を落としています.人間は過去の経験を未来に活かせることを信じて,早く平和で平穏な日々が訪れることを祈りたいと思います.
本誌は創刊から18年が経過し,言語聴覚障害の基礎と臨床に関する論文を多数掲載してきました.その掲載論文の動向は本誌の第18巻2号(2021年)で紹介しましたが,今回は米国のASHAが発行しているジャーナルの論文動向と比較してみたいと思います.ASHAはJSLHR,AJSLP,LSHLLを発行しており,これらの論文の2008年〜2010年の動向がAJSLP(2020年)に報告されています.これを見ますと,米国で論文数が突出して多い領域は言語発達障害と失語症であり,次いで運動障害性構音障害,音声障害,発語失行と続き,嚥下障害や認知コミュニケーション障害に関する論文は少ない傾向です.これを本誌の2013年〜2020年の原著論文と比較してみますと,本誌で最も多くの論文が掲載された領域は失語・高次脳機能障害で,次いで言語発達障害と摂食嚥下障害であり,発声発語障害はそう多くありません.論文内容を見ますと,米国では評価・治療に関する論文が多く,わが国では症状・障害メカニズムに関する論文が多いといえます.このように米国とわが国では研究動向に違いがみられますが,これは両国の臨床・研究の環境や特徴,また言語聴覚障害学の発展経過を反映していると思われ,非常に興味深く感じます.
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