- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
今夏は,7月23日から1年遅れの東京オリンピックが開催されました.大部分の競技は無観客で実施されましたが,オリンピアンたちの活躍はメディアを通して世界に発信され人々の心を動かしました.しかしこの期間もコロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は止まらず,現在も世界各国は人類共通のこの問題への苦闘を続けています.
COVID-19の感染拡大によって言語聴覚療法の臨床現場や臨床実習の形態は変化を余儀なくされていますが,学会開催についても同じことが言えます.本年6月19日に名古屋市で開催された「第22回日本言語聴覚学会」(会長 中橋聖一氏 愛知県言語聴覚士会)は,現地開催とZoom開催を組み合わせたものとなりました.今学会のメインテーマは,「STの臨床実践力〜明日へ繋がる 意識改革 知の創造〜」であり,医療,福祉,介護,教育などにおける課題を深く掘り下げた研究が多数発表されました.参加者数は現地参加が300名以上,Zoom参加(事前登録者)が2,600名以上と,かってない人数になりました.オンライン開催には直接,現地に赴かなくても参加できるという利便性がある一方で,演題発表において質疑応答を十分に行うことができないという難点があります.研究が真の価値を持つには,同じ学問領域の専門家によって評価・吟味されることが必要であり,学会発表では質疑応答がそのような役割を担います.オンライン学会では,完全に同時双方向の形式をとらない限り,参加者が質疑応答を通して研究内容を十分に吟味することは困難な場合が多いと言えます.本誌は査読制度を設けてピアレビューを適正に行っていますので,今回の学会で発表された研究を論文にまとめ投稿されることを期待します.
Copyright © 2021, Japanese Association of Speech-Language-Hearing Therapists. All rights reserved.