レポート「現場最前線」
当院における吃音外来新規開設から8年間の経過
岸村 佳典
1,2
1社会医療法人生長会ベルピアノ病院リハビリテーション室
2社会医療法人生長会脳梗塞集中リハビリセンター
pp.62-65
発行日 2024年3月15日
Published Date 2024/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.6001200459
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Ⅰ.はじめに
吃音は,呼吸器や発声発語器官に原則として器質的・機能的異常がないにもかかわらず,発話時に意思とは関係なく吃音中核症状と呼ばれる特徴的な言語症状を生じる障害である1).本邦では,厚生労働省の「疾病,傷害及び死因の統計分類」にて「吃音症」という疾病に分類され,医療機関で受診可能な健康保険適用の疾病としている.しかし,吃音の専門家が不足している2)ため, 吃音の臨床を行う医療機関が少なく,吃音児者が適切な治療を受けられない事態が危惧されている.その一方で,既存の吃音の専門家がいる機関では,多くの吃音児者が受診するため,初診までに数か月待機しなければならないこともある.このような事情を鑑み,一般外来においても吃音の臨床を受け入れることが期待されている1).
当院では2015年4月に吃音外来を新設し,2023年現在で8年を迎えた.本稿では当院における吃音外来の新規開設の経緯とその後の経過について紹介する.
なお,吃音は主に発達性吃音と獲得性吃音に分類されるが,本稿で取り上げる吃音とは発達性吃音を指す.
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