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編集後記
藤田 郁代
pp.286
発行日 2020年9月15日
Published Date 2020/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.6001200294
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COVID-19の感染はいまだ収束せず,各分野ではいかにして感染防御と諸活動を両立させるかについて模索が続いている.これは言語聴覚分野においても同様であり,臨床,研究,教育の量と質を保つための試みが各現場で行われている.
COVID-19の言語聴覚臨床への影響は非常に大きい.これは,コロナ・ウイルスが侵入し増殖する主要器官が呼吸・発声・発語器官であり,言語聴覚士はこれらの器官の機能に対応する専門職であることによる.対象者と会話することなく,また発声発語/摂食嚥下器官の形態と動態を調べることなく,言語聴覚療法を提供することは困難である.この意味において,言語聴覚士は医療福祉職の中でもリスクが高い現場で働いているといえる.対象者に感染させない,自分も感染しないための厳しい自己管理と協力が求められる環境において,最善の言語聴覚療法を提供することに努める人々の緊張と苦労は測り知れない.
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