- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
1.はじめに
沖縄県では,言語聴覚士が国家資格として認定される以前の昭和40年代に,国内外で言語病理学を学んできた複数名の臨床家が,県内の医療の充実と発展のために「沖縄県言語治療士会」を組織し,活動をしてきた.平成11年には,第1回言語聴覚士国家試験が実施され,職能組織である日本言語聴覚士協会が設立された.その協会の設立に伴い,同年,沖縄県でも,それまでの「沖縄県言語治療士会」を「沖縄県言語聴覚士会」へと移行した.その後,平成16年には,県内初の言語聴覚士養成校が設置されたことで,十分とはいえないまでも,着実に言語聴覚士の数も増え,同会は県民の医療,保険,福祉,教育などのニーズに応えるべく鋭意職能活動を継続的に行ってきた.そして,平成23年には,さらなる社会的責任を果たすために,これまでの任意団体を発展的に解散し,一般社団法人沖縄県言語聴覚士会へ移行し,同士会の活動の拡充・発展をはかることにした.同士会は,平成24年現在,160余名の会員を擁し,会員各自が県内各所で意欲的に活躍している.
同士会の一般社団法人化に伴い,これまで,沖縄本島内に偏っていた職能活動を,宮古・八重山などの島嶼地域まで広げるために,平成23年度より新たに同士会内に島嶼リハビリ委員会を設置した.職能団体として,島嶼地域と沖縄本島との地域格差の解消およびリハビリテーション・サービスの質的向上とその安定的提供を担保するために,それを実現する第一歩として,離島における言語聴覚士が置かれている現状の把握と抱えている数々の課題を掘り起こす作業を開始した.
本稿では,沖縄県宮古圏域に限定して,その地域における言語聴覚士の活動状況をまとめ,これからの離島における言語聴覚士の役割について考察する.これが,今後の活動の指針として資することになれば幸いである.
Copyright © 2012, Japanese Association of Speech-Language-Hearing Therapists. All rights reserved.