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編集後記
藤田 郁代
pp.185
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.6001100138
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いよいよ年の瀬が迫り,心慌しい日々が続く候となってまいりました.今号は原著論文3編,短報1編,調査報告1編,レポート1編をお届けします.菅野論文の「失語症の文発話における動詞提示の効果―非流暢性失語例と流暢性失語例の比較」は,動詞の項構造の処理という観点から構文障害の発生メカニズムを検討しており,構文障害に対する新しい切り口を提示しています.現在,構文障害の研究は症状記述や病巣との対応を超えて発生メカニズムの解明に広い視点から取り組んでいます.特に意味の構造化,および意味と言語形式のマッピングの過程に研究の焦点が当てられており,文産生における動詞の処理の検討は重要な研究テーマとなっています.研究のさらなる発展が期待されます.宮本論文の「復唱において意味性錯語と非語の語彙化現象を呈した症例―深層失語との比較」は,非語の語彙化現象から症例の障害構造を検索しており,その成果は評価・訓練の指針へと繋がるものと思います.古川論文の「失語症者からの話の聴き取り方―失語症の臨床経験年数による差異」は,失語症患者の意思伝達効率に聞き手の会話スキルがいかに深く関係するかを明らかにしています.中村論文の「失語症配偶者の精神的健康とその関連要因」は,言語聴覚療法における重要な資料を提供しています.
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