特集 教育機関へのリハビリテーション職の支援
特別支援学校におけるOTの役割—非常勤OTの経験を通して
萩原 広道
1,2
1京都大学大学院人間・環境学研究科
2日本学術振興会
pp.819-824
発行日 2018年11月15日
Published Date 2018/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200986
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はじめに
「水曜日はゼロティーさんの日!」−筆者が勤務していた京都市の某特別支援学校で,担当していた児童がよくこんな声をかけてくれた。その児童は,OTの文字を見てどうやら「ゼロティー」だと思ったようで,こんな面白い勘違いもあるのかと感心させられた。今にして思えば,訪問や巡回といった形態ではなく,(週に1日程度とはいえ)学校の一スタッフとして継続的に児童生徒とかかわっていたからこそ,このようなフレーズを聞くことができたのかもしれない。
一般に,特別支援学校は障害種別ごとに編成される場合が多い。これに対して,京都市の特別支援学校では,8校のうち4校が,障害種別を超えて,児童生徒が居住地域に近い学校で学ぶ総合制・地域制を採っている。このため,学校の名称も特別支援学校ではなく,「総合支援学校」とされる。約1,100名の児童生徒が市内の総合支援学校に在籍し,そのうちの約7割が地域制の総合支援学校に通学している(2018年時点)1)。
筆者は,週に6時間という契約で,特別非常勤講師(いわゆる外部専門家)として地域制の総合支援学校に勤務していた。本稿では,その経験を踏まえて,特別支援学校教育におけるOTの役割や立ち位置について私見を述べる。まず,国内の特別支援学校教育に携わるOTの現状を概観したあと,筆者自身がOTとして特別支援学校教育にどのように関与したかを赤裸々に紹介し,そこから得た知見を共有することにしたい。
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