特集 非常勤講師とのよい関係づくり
非常勤講師自身からみた非常勤講師による看護教育の問題点―生理学教育を通して
清水 強
1
1福島県立医科大学生理学第一講座
pp.100-107
発行日 1994年2月25日
Published Date 1994/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900780
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
はじめに
様々な分野の教育機関において非常勤の教員による教育が盛んであるが,こうした形をとる理由はこれまた一律ではない.その運営を非常勤講師を主体として行なうべく,初めからそれを前提にして設立された機関もあれば,一部を非常勤講師でと見込んで始まったものもある.また,基本的には常勤教員による教育がおよそ充足されており,特に問題なくとも,学生に対するさらに強い学問上の刺激を求めて,敢えて非常勤でその道の専門家による講義を単発的に依頼する形もある.非常勤講師と一口に称しても,その委嘱される意味合いの幅は相当に広い.従って,委嘱された講師の心構えや教育に取り組む姿勢もそれぞれの場合により随分変わってくるであろう.
現在の日本の看護教育課程において求められている非常勤講師は,看護教育機関の設立の状況からして,もともとはその教育機関の,言わばもう1人の主役の如く位置づけられているものと言ってもよいであろう.ところが,その形態上の位置づけと主役たるべき人々の認識とは現実には一致していないことが多い.そのため,教育課程の中で希薄な部分が生じ易く,時には空白の部分さえも出かねない.そうした場で教育を受ける人々の目指す職業が国民生活の中で占める位置を考える時,そういう希薄さを放っておいてよいのであろうかと大いに考えさせられもする.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.