海外だより
アメリカ留学体験記
岩井 謙育
1,2
1大阪市立大学脳神経外科
2大阪市立城北市民病院脳神経外科
pp.758-759
発行日 1993年8月10日
Published Date 1993/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436900694
- 有料閲覧
- 文献概要
1991年10月より1992年9月まで1年間ピッツバーグ大学脳神経外科にて,主に頭蓋底外科について勉強する機会を得ました.そこで,ピッツバーグ大学の脳神経外科を少し紹介したいと思います.有名なのは,Jan—netta先生(microvascular decompression),Lunsford先生(stereotactic radiosurgery),Sekhar先生(頭蓋底外科)この3人が臨床面では世界的に有名だと思います.
まず,Jannetta先生は現在60歳ぐらいですが,週2—3日microvascular decompressionの手術を,多い時は1日10例ぐらい行っています.対象となる症例は顔面痙攣,三叉神経痛,その他眩暈に対する第8脳神経の減圧,耳鳴に対する第8脳神経の減圧,頸性斜頸に対する第11脳神経の減圧,さらには本態性高血圧に対する左側迷走神経,延髄外側部の減圧と多彩な症例に対して行っています.耳鳴の症例も200例近くあり70%位の治癒率とのことです.また,本態性高血圧に対する治療成績は80%に有効とのことです.しかし,これらの手術でも,術前の神経生理学的な検査が大切だと思われます.また,顔面神経痙攣や頸性斜頸の手術では,術中もMoller先生(neurophysiologyでは有名な先生)と筋竃図を検討しながら手術を進めています.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.