巻頭言
仲間をもとめて
森脇 美早
1
1社会医療法人祐生会みどりヶ丘病院リハビリテーション科
pp.652-653
発行日 2018年9月15日
Published Date 2018/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200939
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- 文献概要
リハとは再び人間らしく生きるためのあらゆる介入のことである。およそ20年前,私は大学のリハ医学の講義で初めてそれを学んだ。小学生の頃,いじめを受けた経験から人と接することが怖くなり殻に閉じこもっていた私は,中学生,高校生になり友だちを作るという「普通」の生活に憧れ,それを実現すべく試行錯誤をした。完全にトラウマは解消できないものの,しだいに友だちができ,楽しい高校生活を送ることができた。それはささやかだが自分なりのリハだった。人間的復権を学問として,一生の仕事として,かかわることができればどんなにすばらしいだろうと思い,リハ科医師になる決意をした。
リハという言葉は誤解を受けやすいようだ。しばしば機能訓練のことだと思われていたり,体操やマッサージのことと勘違いされたりすることもある。しかし本来は,再び人間らしく生きるためのあらゆる介入という意味なので,多角的で包括的な介入のことを指す。リハ科の診察では疾患や障害や栄養状態をみて,生活をみて,個人がどのように生きて何を大切にしてきたかをみて,全人的な視点でみていく。そうして現状の把握をし,どんな目標(ゴール設定)を立てれば良いのかを考える。そのうえで2種類の介入を意識してリハ計画を立てる。1つ目は伸びしろを見つけ,機能改善を目指して「治療的介入」を行うこと,2つ目は福祉用具や食形態,姿勢や環境などを整えるといった「代償的介入」を行うことである。さらに,本人のモチベーションを高めることや学習効果を高める計画も忘れてはならない。
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