生活と意見の広場
つぶやきやうめきをコトバに!!—壁のなかから連帯をもとめて
牧瀬 菊枝
pp.97-99
発行日 1971年4月1日
Published Date 1971/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916002
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教育というものの現状
本誌1月号の川上武先生との対談で,先生が,「中学を卒業するころの14,5歳の少女が,自分の将来の職業を看護だと決めることは,たいへん素朴な,人間らしい,美しい選択です」といわれたとき,私ははっと目がさめるような思いで,14,5歳の少女のういういしい夢に感動した。ところが,この「出発点でのヒューマンで,ナイーブで,患者のために尽くそうとする心が,教育されるに従って,だめになってゆく」と川上先生はいわれた。
頬っぺたの赤い,夢と希望に胸をふくらませて入学して来る少女たち,そのヒューマンな夢と希望を打ち砕く現代の看護教育,医学教育というものの残酷さに,私は胸つぶれる思いがした。しかも少女たちはなお絶望せず,出発のときの初心に思い描いた夢を胸深く抱き続けて,けなげにも耐えているという。
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