視座
施設は医師をもとめている
佐藤 孝三
1
1日本大学医学部整形外科学教室
pp.489
発行日 1969年7月25日
Published Date 1969/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904094
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私の恩師である故高木憲次先生が,次のようにいわれたことがある.「男一匹として何をやつてみたいかと問われたら,高木の答は,金をもうけるには株式,人を動かすには政治家,人のためには医師の3つです.高木は医師だけしかできませんけれどね.」さらにつけ加えて「医師は患者と1対1で真剣に対決しなければなりませんから,いついかなる環境にあつても仕事に生き甲斐を感じられて幸福です.ただ整形外科医は1人で患者になし得る範囲が限られるから,チームワークを大切にしなければいけませんね.」
その頃高木先生は療育事業の普及,肢体不自由児施設全国設置のために東奔西走しておられた.先生のいわれたチームワークは,主として施設における医師,看護婦,OT,PT,ST,保母,ソーシャルワーカー,心理学者などの協力体勢を意味していた.先生は同時に,このチームの構成メンバーである各職種の人達が大変に不足しているのを憂えておられた.
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