特集 脳性麻痺者の加齢による変化と対応
脳性麻痺者の成長に応じた環境整備の実際
西村 顕
1
,
山本 裕子
1
1横浜市総合リハビリテーションセンター
pp.545-551
発行日 2017年7月15日
Published Date 2017/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200644
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脳性麻痺者の成長に応じた住環境整備の考え方
一口に脳性麻痺といってもその障害像の幅は広く,本人の身体機能の状況や保護者の考え方などによって住環境整備(福祉用具の導入や住宅改造の実施など)は個別性が高いものになる。
しかし,共通して住環境整備とは,本人の自立性向上と介助負担の軽減という役割を担っている。ただ高齢者の住環境整備と比較して難しいのは,子どもの発達や成長の変化にどう対応していくかであろう。図1は,脳性麻痺児者のライフステージと日常生活活動(ADL)との関係を表した概念図である。本人の身体機能や成長段階に合わせて適切な住環境整備をすることにより期待される活動を得ることを示している。幼児期から必要に応じて福祉用具を導入するなどの住環境整備により,生活の中でできることを増やすことが肝要である。また,学齢期以降も本人のできることを維持しながら,親の介助負担を軽減する住宅改造などを積極的に実施していくことが望ましい。個人差は当然あるものの,基本的な住環境整備の考え方はこのように,ADLの向上および維持する役割を担っており,さらには本人の生活の質の向上や社会参加につながる役割を果たすことが期待できる。
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