連載 地域包括ケアシステムにおける訪問薬剤師・第2回
在宅医療における薬剤に関する問題
堀籠 淳之
1,2
1株式会社中央薬局
2一般社団法人全国薬剤師・在宅療養支援連絡会
pp.426-429
発行日 2017年5月15日
Published Date 2017/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200612
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リハ関連職種の読者でも自身が担当している患者・利用者だけではなく,自身や家族にかかわる残薬を経験している割合は高いだろう。2015年度の総医療費約41.5兆円に占める薬剤料は約6兆円で1),その割合は約14%と高く,薬剤料の伸びが新薬の登場などにより加速され,さらに問題視されている。薬剤料の7〜10割が公費で賄われており,患者本人はその一部しか負担していないこともあり,残薬に対して「もったいない」という実感が得られにくい。在宅医療では,調剤された後の薬剤の実態を確認できることが薬剤師にとってのベネフィットの一つである。外来ではヒアリングによる確認が主となるため,患者の取り繕いなどもあり,実態を詳細まで把握できないことが多いが,在宅訪問を開始すると薬剤師が一度に複数の問題点を確認することができる。中でも残薬は服薬にかかわる問題発生の顛末であり,その確認から重要な情報が得られやすい。
在宅患者では,来局する患者に比べて重症度が高く,ADLや薬物代謝能が低いことが多いので,薬剤による副作用などの影響が出やすい。また,長期間服用している薬剤も多く,一部では長期服用による悪影響も疫学調査などで報告されている。
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