提言
「異次元」の「後期高齢者社会」への地域リハビリテーションの対応
大田 仁史
1
1茨城県立健康プラザ
pp.669-672
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200470
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はじめに
現在の高齢社会は「超」高齢社会ではなく,「異次元」の高齢社会であるという。この異次元という言葉は厚生労働省ではなく国土交通省が使ってきた言葉であるが,こう表現したほうが思い切った対策を立てやすい気がする。異次元に臨む気合いで立ち向かわないと10年後に差し迫った「後期高齢者社会」を乗り切れない(図1)。これから迎える後期高齢者社会は連続線上にじわじわと現れるのではなく,4年間で1,000万人以上の後期高齢者が一気に増える。医療費,介護費が上がるだけでなく,介護福祉士,ヘルパーなど介護者の絶対的不足のため,虐待,介護放棄,介護心中,介護殺人などが頻発する恐れがある。
本小論では,上述のような認識に基づいて地域リハの立場から次の3つの行動を提案する。1つは,早急に地域リハの定義または活動指針に「介護予防」という言葉を明記する,2つには,リハ専門職能団体は職場外活動(プロボノ)を推進し,医師会や自治体と連動しながら介護予防活動の大展開を図る,3つには,リハ専門職は介護予防の住民活動を起こし住民,行政と協働する,である。
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