とびら
異次元動作の真似のすすめ
高濱 照
1
1九州中央リハビリテーション学院
pp.949
発行日 2009年11月15日
Published Date 2009/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101519
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私の学生時代には,実習などで,よく患者さんの真似をするようにいわれた.真似ができると患者さんの状態がわかるという理屈で,真似ができなければ,「まだまだ君はわかってないね」といわれたものである.近頃は実習地を訪問しても,学生からそのような話は聞かないので,この「患者さんの動作を真似る」という学習法は廃れたのだろう.
最近,昔かじっていたテニスを再開し,知人とコートで打ったり,壁打ちをしたりして,結構頻繁に練習している.年をとってからテニスを再開したのには理由があって,それはテニス競技者の真似をしてみようと思ったからである.誰の真似をするかというと世界一流のプロ,たとえばフェデラーとかナダルとかである.彼らとまったく同じ動きができれば,彼らと同じ球が打てるという理屈である.そういうと,そんなことができるはずがない,もし,いい年をした者が彼らの真似をしたら,たちまち身体が傷害されるに違いないと思われるだろう.しかし,いざやってみると,それはまったくの逆で,彼らのようにしないから身体が傷害されるのだということが,だんだんわかってきた.彼らの究極の技は傷害を防ぐための技でもあるのである.つまり,一流選手の打ち方の真似をするということは,どうすればスポーツ傷害が起きないかという秘密のベールを1枚1枚剝いでいくようなものなのである.
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