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現在のリハ医療は,1990年代から大きな飛躍を遂げたと言えます。1991年には地域リハの定義が作成され,「障害があっても住み慣れた地域でそこに住む人々とともに生活する」というノーマライゼーションの思想が提唱されました。地域リハの定義は10年後の2001年に改定されましたが,それから15年が経過しています。くしくも,2015年11月3日にリハ・サミット2015が「いきいきと暮らすためのリハビリテーション—地域包括ケアを支えるために」というテーマで開催されましたが,地域リハの定義で使用された「住み慣れた地域」という限定的な考え方から,「人生のあらゆるステージで,変化するニーズを踏まえて,その人の望む生活の実現」が必要ではないかと提唱されました。1992年には総合リハ施設が制度化され,全国的に量的整備が進められました。セラピスト数も年々増加し,現在22万人を超えるまでになりました。
2000年の介護保険制度の創設と同時に,リハ前置主義を実行する場を全国に整備する目的で回復期リハ病棟制度が実施されました。回復期リハ病棟は看護・介護以外の職種も病棟専従配置とすることでチームアプローチを高め,患者のADLを向上して在宅復帰につなげることが目的とされています。2006年の診療報酬改定ではそれまで1日6単位までしか認められていなかった個別リハが脳血管疾患の早期と回復期リハ病棟入院中は1日9単位まで可能となり,より多くの個別リハが提供できるようになりました。2008年からは回復期リハ病棟に質の評価が導入され,在宅復帰率と新規入院患者における重症者割合によって入院料を設定し,重症者の回復度合いによって加算がつけられました。2010年にはすべての回復期リハ病棟に1日最低2単位の個別リハを提供することが求められ,土日祝日も平日と同様の体制でリハを提供する休日リハ提供加算,1日6単位以上を提供するリハ充実加算が設定されました。2012年には人員配置を強化して入院料が3段階制となり,2014年には医師および社会福祉士の専従配置による体制強化加算が設定されました。一般社団法人回復期リハビリテーション病棟協会が毎年実施している実態調査報告によると,回復期リハ病棟の病床数は2016年3月には全国で7万4,000床を超えるまでになっています。休日リハは約9割の病棟で実施され,6割以上の病棟で1日6単位以上の個別リハが提供されています。
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