今月の主題 知っておきたいリハビリテーションの技術
思想としてのリハビリテーション—一体そこで何が問われているのか
砂原 茂一
1
1国療東京病院
pp.1038-1041
発行日 1976年8月10日
Published Date 1976/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206673
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リハビリテーション
Rehabilitation(以下Rhb,リハと略することとする)の最も広く受け入れられている定義は,おそらくアメリカのNational Council on Rehabilitation(1941)の「身体的,心理的,社会的,職業的,経済的有用性を最大限度まで回復させること」というのであろう,病気を治すのは医学の目標であることはいうまでもないが,単に病変の進行を止めるだけではなく,個体の全人間的な,いいかえれば社会的存在としての能力を最大限に回復させなくてはならないというのである,したがって,これは臨床医学の全分野にかかわる理念である.Ruskは「第二次大戦後,慢性疾患と心身障害の頻度が高くなり,個々の医学の専門分野をこえた大きな問題となったから,リハは今日ではすべての臨床家の仕事である」といっている.ともすれば日本で受け取られがちのように,整形外科の専売ではない.リハの成書には筋・神経疾患はもちろん,肺,心臓,血管,代謝,がんなどの疾病が独立した一章を占めているし,精神科もリハ医学の大きな領域である.欧米のリハ卒後研修プログラムにも内科が重要な位置を占めている.もちろん,それぞれの分野で用いられるリハの技術は同じでないが,共通の理念によって支えられているのである.
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