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はじめに
平成15年度より,要介護者の増加に伴い,持続性のある介護保険制度とするため,介護予防・リハのあり方を検討する,高齢者リハビリテーション研究会を開催し,高齢者のリハのあるべき方向性を検討している。その当時,① 個別性を重視した適時適切なリハが,必ずしも計画的に実施できていない,② 「身体機能」に偏ったリハが実施され,「活動」や「参加」などの生活機能全般を向上させるためのバランスのとれたリハが依然として徹底できていない,③ 高齢者の気概や意欲を引き出す取り組みが不十分であることなどが指摘されていた。これを受けて,平成18年度の介護報酬改定では,「心身機能」「活動」「参加」の要素にバランスよく働きかける効果的なサービスの提供を推進するため「リハビリテーションマネジメント」を介護保険でのすべてのリハサービスに位置づけるなど,リハの適切な提供に向けた見直しを行っている。
しかし,平成27年度介護報酬改定に向け開催された社会保障審議会第106回介護給付費分科会において,居宅サービスにおける訪問リハ,通所リハでは,高齢者に対する「心身機能」「活動」「参加」のそれぞれの要素にバランスよく働きかける効果的なリハが徹底できていない,居宅サービスにおけるリハ機能の役割や位置づけについて,通所介護と差がないことなどが指摘された。
そこで,バランスのとれた効果的なリハを今後さらに推進するためには,地域における高齢者リハのあり方を改めて検討する必要があるのではないかとの観点から,平成26年度より,「高齢者の地域におけるリハビリテーションの新たな在り方検討会」を開催し,リハにかかわる職能団体や学識経験者の意見を踏まえ,報告書をとりまとめた。報告書に基づき,平成27年度の介護報酬改定では,「心身機能」「活動」「参加」の要素にバランスよく働きかける効果的なサービスの提供を推進するための理念の明確化と「活動」「参加」に焦点を当てた新たな報酬体系を導入したところである。
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