特集 精神医療保健福祉に求められる地域リハのあり方
官民協働で精神障害者ピアサポート活動を育む
中野 千世
1
1医療法人宮本病院地域活動支援センター櫻
pp.334-339
発行日 2015年5月15日
Published Date 2015/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200108
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はじめに
わが国において社会的入院や長期入院を解消するために,平成15年より退院促進・地域移行支援がモデル事業として実施されてから,10年以上が経過している。国の事業から障害福祉サービスの1つとして個別給付化されるようになった現在まで,一体どれだけの方が退院し,地域で生活されているだろうか。地域における医療・福祉・行政の連携など,退院者数という数字では計り知れない効果はあるものの,依然として20万人を超える1年以上の長期入院患者が存在している現実がある。
専門職が行う支援以外に,精神障害のある当事者が行う「ピアサポート」はさまざまな活動事例から有用性が示されている。精神障害者の地域移行を推進するために,厚生労働省は事業の中にピアサポーターの同行支援を補助事業として組み込んでいた。和歌山県ではこれを活用するかたちで平成23(2011)年度から精神障害者ピアサポーターの養成・育成研修,そして活動に対する報酬が予算化された。現在は和歌山県精神障害者地域生活支援体制整備事業の中の1つとして位置づけられている。
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