連載 感性の輝き・第22回
変わりゆくイメージとニーズ
小原 由紀
1
1東京医科歯科大学口腔健康教育学分野
pp.287
発行日 2015年4月15日
Published Date 2015/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200095
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「歯科医院のお姉さん」—歯科衛生士学校に入学したての私が抱いていた歯科衛生士に対する職業イメージだ。「口腔ケア」という言葉が浸透する前の話になる。世の中の歯科衛生士の職業イメージも,おそらく大多数が同じようなものだったのではないだろうか。当時から高齢化の問題は叫ばれてはいたが,要介護高齢者への口腔ケアに関しても,訪問歯科に関しても歯科衛生士の教育のカリキュラムにはなく,私は文字どおり,卒業後は「歯科医院のお姉さん」となった。
あれから20年近くの時間が経ち,一番に感じるのは,周囲の歯科衛生士に対する期待の変化である。「お仕事は何ですか?」と聞かれ,「歯科衛生士です」と答えた時の反応でそれがよくわかる。歯科衛生士の活躍の場が,この20年の間に,歯科医院の中だけにとどまらず,在宅,高齢者施設へと広がり,介護予防,周術期患者への口腔機能の管理など,新たな可能性も生まれた。
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