- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
新潟県では古くは1964年6月16日に新潟地震を経験した。震源地は粟島沖で,新潟市では震度5で,長岡市,宮城県仙台市などもかなりの揺れがみられた。死者は26人であったが,新潟国体のためにつくられた昭和大橋は開通わずか10数日後に強震に見舞われ,橋脚部分から崩れて信濃川の川面に落下した。さらには液状化により,アパートの倒壊などがみられた。さらに,11年前の2004年10月23日に新潟県中越地震,その3年後の2007年7月16日には,新潟県中越沖地震を経験した。犠牲者などは阪神・淡路大震災や東日本大震災に比較すると,多くはなかったものの,その被害額,さらには負傷者数が多かったのが特徴であった(表1)1)。このような多くの災害を経験し,災害直後の災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team:DMAT)による急性期医療の重要性が叫ばれた。それによって,DMATの教育・研修制度が充実し,2010年の時点でDMAT指定医療機関が378施設,DMAT数が703隊,DMAT隊員数が4,338名と充足されつつある2)。さらに,その後の健康維持,生活再建におけるリハ診療の重要性が近年,注目されている。
2011年3月11日に発生した東日本大震災後,日本リハ医学会を中心とした多職種の東日本リハビリテーション支援関連10団体(以下,10団体〔後の大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会〕)が連携し,被災地のリハ医療ニーズに対応した支援への体制づくりが進められた3)。その後,10団体からの依頼により,新潟県においても災害時のリハに関係する災害支援を行うための協議会を設置することとなり,新潟大学医歯学総合病院,新潟県行政,新潟県看護協会,リハ療法士の県士会および新潟県介護支援専門員協会の代表者による協議会が開始された。第1回役員会が2013年4月19日に開催されたのを皮切りに,現在までに5回開催され,新潟県の災害リハ支援体制が整いつつある。
本稿では,これまでの新潟県における災害リハの組織化の取り組みの経緯と課題,ならびに今後の方針について述べる。
Copyright © 2015, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.