Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
脊椎転移手術の目的とは,転移によって破壊された脊柱の安定性を回復させること,そして転移による脊髄麻痺を防止することにある.さらに,転移の局所制御を高める工夫として,体幹部定位放射線治療(stereotactic body radiotherapy:SBRT)1),腫瘍椎体骨全切除(total en-bloc spondylectomy:TES)8)をはじめとした腫瘍切除(surgical metastasectomy:SM)などの方法が行われている.
脊椎転移の手術において,除圧固定術は疼痛緩和を主目的としたものから,局所制御を目指して積極的に搔爬するものまで複数のコンセプトを含んでいる.一方,TESは肉眼的に確認可能な腫瘍をできるだけ一塊として切除することで局所根治を目指す治療である.
局所制御を治療目的とした場合,後方除圧固定(分離手術+放射線治療)とTESのどちらが優れているのかについての結論は出ていない.治療成績を比較した研究は少ないながらも報告されており,Zhengら9)は,術後1年,2年,5年において,放射線抵抗性腫瘍に対する分離術+SBRTの局所無増悪生存率がTESと同等であると報告した(1年;84.6%対83.1%,2年;60.8%対64.3%,5年;18.8%対24.1%).一方,Katoら4)は腎がんTES術後のがん特異生存率を3年,5年,10年でそれぞれ77%,62%,48%と報告しているほか,肺がんでは同様に3年,5年,10年でそれぞれ61.5%,53.8%,15.4%と報告しており3),TESにおいて優れた臨床成績が示されている.がん種別の比較検討は今後の課題だが,TESは一般的に除圧固定術よりも侵襲が大きく難易度が高いことから,筆者らは個々のがん種に応じて適応を慎重に検討すべきと考えている.
本稿では,除圧固定術およびTESの手術適応に関する当院での考え方,除圧固定術における手術の実際について解説する.

Copyright © 2024, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.