原発担当科からみた脊椎転移—肺がん

Bone Metastases in Lung Cancer: A Perspective from Thoracic Oncology

はじめに

　肺がんの組織型は腺がん，扁平上皮がん，大細胞がん，小細胞肺がんを含む神経内分泌腫瘍などに分けられるが，治療選択の観点からは小細胞肺がんと非小細胞肺がんとに大別されている．骨転移の存在は疼痛や病的骨折によるQOL低下の原因となり，進行期肺がんにおける予後不良因子である^1,14）．しかしながら，近年では，特に非小細胞肺がんにおいてドライバー遺伝子変異に対する分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬（immune checkpoint inhibitors：ICI）の開発が進み，進行期症例においても薬物療法による症状緩和，QOLの維持・改善，生存期間の延長が望めるようになっている．本稿では，肺がんにおける薬物療法を概説し，骨転移に対する治療について考察する．