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特集 各神経ブロック,関節ブロックの実際
誰でもできる仙腸関節ブロックによる仙腸関節障害の診断—解剖に基づいたブロックの実際とその意義
Diagnosis of Sacroiliac Joint Dysfunction/Pain with Sacroiliac Joint Injections: The Practice of the Procedures Based on the Anatomy and Its Implications
黒澤 大輔
1
,
村上 栄一
1
Daisuke KUROSAWA
1
,
Eiichi MURAKAMI
1
1JCHO仙台病院整形外科/日本仙腸関節・腰痛センター
1Department of Orthopaedic Surgery/Japan Sacroiliac Joint and Low Back Pain Center, JCHO Sendai Hospital
キーワード:
仙腸関節
,
sacroiliac joint
,
ブロック
,
injection
,
診断
,
diagnosis
Keyword:
仙腸関節
,
sacroiliac joint
,
ブロック
,
injection
,
診断
,
diagnosis
pp.505-515
発行日 2024年8月19日
Published Date 2024/8/19
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202349
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はじめに:仙腸関節由来の疼痛の診断
仙腸関節由来の疼痛の大部分は,関節の微小な不適合による機能障害が原因と考えられる19).典型的な仙腸関節障害の症状は,片側または両側の上後腸骨棘(posterior superior iliac spine:PSIS)を中心とした腰殿部痛で,ときに鼡径部痛や神経根領域と一致しない下肢痛・しびれを伴う20).また,歩行では立脚側で荷重時に痛みが増悪し,椅子座位でも疼痛が誘発されるため座位保持が困難となる症例がいる.標準的な診断方法は,①最も疼痛が強い部位を一本指で患者に示してもらうOne fingerテストでPSISを指す腰殿部痛があり21),②うつ伏せになった状態で仙腸関節部に圧迫を加えて疼痛が誘発〔sacroiliac joint(SIJ)shearテスト〕され,③仙腸関節後方靭帯ブロックで70%以上疼痛が軽快する,という3段階である(図 1).
仙腸関節ブロックは仙腸関節由来の疼痛の最終的な確定のために必須となる.仙腸関節障害は腰痛診療では4〜5例に1例の割合でみられる30)ため,簡便な仙腸関節ブロックをマスターし,仙腸関節障害の診断ができると腰痛診療は楽になる.
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