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はじめに
来年(2024年)にはParkinson病(PD)を「振戦麻痺」として最初に記載したJames Parkinsonの没後200年を迎える.記載後の診断と治療の進歩は著しいが,PDにおいては運動異常のほかにまだまだ解決されるべき課題が多くあり,姿勢異常もその1つである.PD患者はしばしば異常姿勢を呈し,四肢や頸部,体幹の変形は1/3の患者にみられるという11).最も目につくパターンは古典的な前屈姿勢,すなわち股と膝の屈曲と円背とされるが,治療の進歩により減少してきている印象がある.それでも病勢の進行により,重度の姿勢異常や脊椎変形が現れ,ADLに大きな障害になっている.代表的にはカンプトコルミア(強い体幹前屈)や頸部前屈(首下がり症候群),Pisa症候群,側弯などがある11).
ごく最近の系統的文献調査(19文献)のメタ解析5)によると,姿勢異常全体は22.1%(95%CI 19.7〜24.5%)であり,内訳はカンプトコルミアが10.2%(7.7〜12.7%),頸部前屈(〜首下がり症候群)が7.9%(3.9〜11.9%),Pisa症候群が8.0%(4.7〜11.4%),側弯が19.6%(10.6〜28.7%)であった.アジア人とコーカサス人の姿勢異常の多施設研究34)では,軸性の姿勢異常の頻度は人種の影響がなかったが,アジア人では疾患経過のより早い時期に出現しやすいとされた.
姿勢異常/変形の原因/誘因について,中枢性機序として,動物研究結果と脳深部刺激療法(deep brain stimulation:DBS),ジストニア,固有感覚/運動覚障害,筋強剛,薬物治療,末梢性機序として,ミオパチー,脊柱/軟部組織異常が挙げられている11).筆者は本稿のテーマについて総論的な論文を本誌14)と自著15)に書いたことがあり,今回はこれら上記の因子にその他のものも加えて,姿勢異常・脊椎変形の背景要因について重点的に述べ,個々の病型とこれらの因子の関係について考察する.
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