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特集 脊髄および末梢神経鞘腫瘍のすべて
—神経鞘腫瘍の手術:脊髄腫瘍(神経鞘腫)—硬膜内髄外腫瘍の手術
Surgery of Spinal Intradural Extramedullary Tumors(Nerve Sheath Tumors)
髙見 俊宏
1
Toshihiro TAKAMI
1
1大阪医科薬科大学医学部外科学講座脳神経外科学
1Department of Neurosurgery,Osaka Medical and Pharmaceutical University
キーワード:
髄外腫瘍
,
extramedullary tumor
,
シュワン細胞腫
,
schwannoma
,
末梢神経
,
peripheral nerve
Keyword:
髄外腫瘍
,
extramedullary tumor
,
シュワン細胞腫
,
schwannoma
,
末梢神経
,
peripheral nerve
pp.319-324
発行日 2023年6月30日
Published Date 2023/6/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202080
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はじめに
末梢神経から発生する神経鞘腫の大半は良性であるため,手術の成否が術後成績に大きく影響する.臨床的に問題となるのはダンベル型伸展腫瘍(特にEden分類2型および3型),軟膜下神経鞘腫(髄内)および悪性神経鞘腫であるが1〜3,7,10),硬膜内限局型の神経鞘腫(軟膜下伸展なし)においても手術の要点がある.硬膜内限局型の神経鞘腫においては,多くが感覚神経由来の神経鞘腫であるため,硬膜内背側を占拠することが多く,基本的に脊椎後方片側開創での腫瘍切除が可能である.特に腰椎レベルの神経鞘腫(馬尾腫瘍)では,腰椎後方片側開創で安全に摘出可能であることが多い.しかし,頸椎・胸椎レベルで腫瘍が硬膜内腹側に存在する場合(運動神経由来の神経鞘腫)がまれにあり,単純な後方片側開創では脊髄障害悪化の危険性がある.胸腰椎移行部レベルでは,脊髄円錐あるいは円錐上部症状が問題となるため注意を要する.また,神経鞘腫の中でも頻度の高いシュワン細胞腫の場合には,神経線維束単位(神経根糸)の腫瘍摘出が可能となる場合が多く,腫瘍に伴走する正常神経線維束を適切に剝離して温存することも重要である.神経鞘腫のうちダンベル型腫瘍と軟膜下腫瘍については他稿に譲るとして,本稿では硬膜内限局型の神経鞘腫に対する手術を中心に記載する.
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