Japanese
English
特集 脊椎脊髄の先進的なMRI検査や解析
脳と脊髄のfMRI同時解析
Simultaneous Brain and Spinal Cord Functional MRI: A Novel Neuroimaging Modality
高澤 英嗣
1
,
筑田 博隆
1
Eiji TAKASAWA
1
,
Hirotaka CHIKUDA
1
1群馬大学整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Gunma University
キーワード:
脳脊髄同時計測機能的MRI
,
corticospinal functional MRI
,
運動制御
,
motor control
,
痛み
,
pain
Keyword:
脳脊髄同時計測機能的MRI
,
corticospinal functional MRI
,
運動制御
,
motor control
,
痛み
,
pain
pp.707-713
発行日 2023年3月10日
Published Date 2023/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201932
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
脊椎脊髄領域のニューロイメージング研究とこれまでの研究手法の限界
脊椎脊髄疾患の診断は,主に神経症候学に基づく診察や,CTやMRIによる形態学的な画像評価によって行われてきた.しかし,頸髄症の診断において,画像検査で脊髄の圧迫が軽度であっても神経障害の強い症例や,逆に脊髄の圧迫が高度であるにもかかわらず無症候の症例に遭遇することは少なくない.これまでの整形外科領域の診断は,形態学的(解剖学的)な評価が中心であり,脳や脊髄に対する神経機能的な評価が乏しかった.そのため,このような“臨床症状と画像所見とのミスマッチ”を十分に説明できなかった.
この10年間で脳と脊髄の神経機能に関するニューロイメージング研究は目覚ましく発展した.脊髄損傷モデルサルにおいて,複数の皮質脊髄投射路のうち1つが損傷してもほかの投射路が機能を代償して手指の巧緻運動を回復させること17),脊髄損傷や側弯症といった脊髄由来の神経障害によって脳の神経活動が変調すること1,8)が明らかとなってきた.これらの興味深い研究結果は,皮質脊髄投射路を介して,脳と脊髄の間でダイナミックな代償性変化(可塑性変化)が生じていることを示唆している.
Copyright © 2023, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.