Japanese
English
誌上シンポジウム 整形外科疾患における痛みの研究
痛みの基礎研究―生理学的立場から
Pain Mechanisms. Physiological Findings
中塚 映政
1
,
藤田 亜美
1
,
熊本 栄一
1
Terumasa Nakatsuka
1
,
Tsugumi Fujita
1
,
Eiichi Kumamoto
1
1佐賀大学医学部生体構造機能学講座神経生理学分野
1Department of Physiology, Faculty of Medicine, Saga University
キーワード:
pain
,
痛み
,
electrophysiology
,
電気生理
,
ion channel
,
イオンチャネル
,
plasticity
,
可塑性
Keyword:
pain
,
痛み
,
electrophysiology
,
電気生理
,
ion channel
,
イオンチャネル
,
plasticity
,
可塑性
pp.539-544
発行日 2007年6月25日
Published Date 2007/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101061
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近年,後根神経節細胞や脊髄後角細胞にパッチクランプ法を適用することによって,痛み情報伝達に関わる多くの重要な知見が得られた.これまで痛み刺激がどのようにして電気シグナルにモード変換されるのかは不明であったが,イオンチャネルが痛みの受容に関与していることが明らかになった.また,イオンチャネル自体の機能や発現量が変化して,末梢レベルで痛みが増幅する仕組みが示された.さらに,痛みを受容するイオンチャネルは一次求心性線維中枢端と脊髄後角細胞間のシナプスにも存在し,その活性化によって末梢からの痛み情報を脊髄レベルで増幅することが明らかになった.現在,これらのイオンチャネルを標的とする新しい鎮痛薬の開発が進んでいる.また,慢性炎症や末梢神経損傷に伴って,脊髄における神経回路網は可塑的に変化する.神経栄養因子が神経回路網の可塑性発現における責任分子と考えられ,その作用を制御することによって慢性疼痛を抑制できるのではないかと期待されている.
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