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はじめに
頸椎症性脊髄症(cervical spondylotic myelopathy:CSM)の画像診断において,脊髄の圧迫を直接描出でき,病変部位の同定,病態の評価が可能なため,MRIが担う役割は大きい.MRIでは,脊髄が圧迫され扁平化するという形態的変化に加え,T2強調像で髄内に異常高信号域(以下,T2高信号域)を認めることがあり,何らかの可逆的もしくは不可逆的な変化を反映していると考えられている.この診断的意義については多くの研究がなされているが,脊髄ダメージの定量化や術後予後予測においては限界があるとする報告もあり,結論は出ていない3).
水分子の拡散の程度を画像化した拡散強調画像(diffusion weighted image:DWI)は,細胞レベルの微視的な情報の評価が可能である.これを応用した拡散テンソル画像(diffusion tensor imaging:DTI)は,脳や脊髄の白質線維の質的な評価が可能であると期待され,臨床応用が進んでいる.しかし,拡散テンソルのパラメータは,加齢性変化や頸椎アライメントによって影響を受けやすく非特異的とする報告もあり,議論の余地がある.近年,新しい拡散イメージング手法としてneurite orientation dispersion and density imaging(NODDI)モデルが提唱され,脳内の軸索・樹状突起の密度や方向のばらつきの推定が試みられている.これまでにNODDIパラメータはパーキンソン病や水頭症の診断や重症度評価に有用と報告されているが,CSMに応用した研究は報告されていない.そこでわれわれは,NOODIパラメータのCSMにおける脊髄ダメージの定量化と術後予後予測に対する有用性について研究を行った.本稿ではこれまでの報告とわれわれの研究結果を踏まえ1,4),CSM診断における従来の拡散テンソルパラメータとNODDIパラメータの有用性と現状の限界について述べたい.
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