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特集 アスリートの脊椎・脊髄障害—病態と早期復帰への工夫
アスリートの腰下肢痛に対する画像診断—注意が必要な画像所見
Imaging Evaluation of Low Back Pain in Athletes:Practical Imaging Tips, Pearls, and Pitfalls
加藤 欽志
1
,
紺野 愼一
1
Kinshi KATO
1
,
Shin-ichi KONNO
1
1福島県立医科大学整形外科学講座
1Department of Orthopaedic Surgery, Fukushima Medical University School of Medicine
キーワード:
腰痛
,
low back pain
,
磁気共鳴画像
,
magnetic resonance imaging
,
MRI
,
脂肪抑制法
,
fat suppression technique
Keyword:
腰痛
,
low back pain
,
磁気共鳴画像
,
magnetic resonance imaging
,
MRI
,
脂肪抑制法
,
fat suppression technique
pp.189-197
発行日 2018年3月25日
Published Date 2018/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200815
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はじめに
アスリートの脊椎障害に由来する腰下肢痛は,ときに選手生命に関わる重大な問題となる.一般に,腰下肢痛の診断における画像検査は,あくまで補助診断であり,腰椎分離症や腰椎椎間板ヘルニアなどの画像診断によって捉えられる器質的異常所見が,必ずしも痛みと関連しているとは限らない.正確な診断には,画像所見にとらわれず,問診や身体所見,疼痛誘発テスト,さらには診断的ブロックを用いた診断手順により総合的に判断する必要がある21).
各国の腰痛診療ガイドラインでは,腰痛患者に対する初診時のルーチンの画像検査(単純X線,CTおよびMRI)を推奨していない24,31).一方で,アスリートなど活動性の高い腰痛患者に対しては,骨髄変化に感度が高いMRIの脂肪抑制像を用いて,外傷性の病態(腰椎や仙骨の疲労骨折など)を先に除外することを推奨する報告も散見される8,34).適切な画像検査を行っていないことによる診断の遅れから,競技復帰の機会を失うことは極力避けなければならない.腰痛診療ガイドラインでは「20歳未満」はred flags(危険信号)として指定されており31),臨床現場で遭遇するアスリートの大部分は「アスリート=red flags」と認識して,積極的な画像検査を考慮する必要がある.
本稿では,腰下肢痛を有するアスリートを診療する際に,特に注意を要する画像所見について概説する.
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