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はじめに
脊椎手術に起こり得る合併症の中でも,手術部位感染(surgical site infection:SSI)は後遺障害の発生や死亡率の上昇につながり得る重大な合併症の1つである.また,治療が難渋し,再手術や入院期間延長が必要となることも多く,経済的な影響も少なくない12).2018年には,Musculoskeletal Infection Society(MSIS)のコンセンサスミーティングにおいて,人工関節周囲感染(periprosthetic joint infection:PJI)を診断するスコアリングシステムが開発された17).また,人工関節置換術におけるSSIリスクが高い患者を特定するためのツールが作成されており,その有用性が実証されている8).整形外科領域に限らず外科的手術全般に目を向けると,古くは米国Centers for Disease Control and Prevention(CDC)が1990年代に,米国麻酔科学会の策定したphysical status(ASA-PS),汚染・感染度で分類した創分類(class Ⅰ:清潔創,class Ⅱ:準清潔創,class Ⅲ:不潔創,class Ⅳ:汚染創の4分類),手術時間,の3要素からSSI発生率の標準化を目的に開発したNational Nosocomial Infections Surveillance(NNIS)SSI risk indexが存在する18).その一方で,脊椎外科領域に特化した有用なSSI予測指標はこれまで存在していなかった.上記の状況を踏まえ,われわれは脊椎手術後感染を予測するスコアリングシステムを開発し,脊椎術後SSI予測の層別化を試みた.
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