Japanese
English
特集 手術部位感染(SSI)アップデート
術前予後栄養指数はSSIの指標となるか?
Does Preoperative Prognostic Nutrition Index Predict Surgical Site Infection?
後迫 宏紀
1
,
長谷川 智彦
2
,
大和 雄
2
,
吉田 剛
2
,
坂野 友啓
2
,
松山 幸弘
2
Hiroki USHIROZAKO
1
,
Tomohiko HASEGAWA
2
,
Yu YAMATO
2
,
Go YOSHIDA
2
,
Tomohiro BANNO
2
,
Yukihiro MATSUYAMA
2
1北海道せき損センター整形外科
2浜松医科大学整形外科学講座
1Department of Orthopedics, Hokkaido Spinal Injury Center
キーワード:
予後栄養指数
,
Prognostic Nutritional Index
,
手術部位感染
,
surgical site infection
,
脊椎手術
,
spine surgery
Keyword:
予後栄養指数
,
Prognostic Nutritional Index
,
手術部位感染
,
surgical site infection
,
脊椎手術
,
spine surgery
pp.421-424
発行日 2022年1月31日
Published Date 2022/1/31
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201659
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はじめに
脊椎手術後の手術部位感染(surgical site infection:SSI)は術後の順調な経過を妨げる代表的な合併症であり,過去の報告では0.7〜12.0%に発生するとされている12,24).脊椎手術後SSI合併患者は術後臨床転帰が悪く,国内大規模アンケート調査でも31.3%は不完全な回復となり,2.3%は1年以内に死亡しているとされ,術後インプラントを温存できる割合も低く,インプラント抜去後は矯正損失のリスクがある10).要するに,SSIは術後臨床転帰に大きな影響を与えるため,その発生を減らすため徹底した予防策を実施するべきである.
脊椎手術後のSSI発生率は,高齢,肥満,喫煙,糖尿病,再手術例,長時間手術,術中出血量過多などの多くの要因によって影響を受けることが報告されている14,15).近年,術前予後栄養指数(Prognostic Nutritional Index:PNI)が,一般外科領域の手術患者において術前の栄養状態を簡易的に評価する指標として用いられている20,21).低栄養が脊椎手術後SSIの発生危険因子の1つであると過去に報告されているが2,8),われわれが渉猟し得た限り,PNIと脊椎手術後SSI発生の関連を評価した報告はきわめて少ない18).
本稿では,PNIを含む患者関連因子や手術関連因子が脊椎手術後SSI発生に与える影響を明らかにして,その予防策を示す.
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