Japanese
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特集 脊髄炎—診断プロセスと知っておきたいトピックス
知っておきたい脊髄炎とトピックス—帯状疱疹に伴う髄節性運動麻痺—Segmental zoster paresis
Segmental Zoster Paresis
安藤 孝志
1,2
,
勝野 雅央
1
,
吉田 眞理
2
,
岩崎 靖
2
Takashi ANDO
1,2
,
Masahisa KATSUNO
1
,
Mari YOSHIDA
2
,
Yasushi IWASAKI
2
1名古屋大学神経内科
2愛知医科大学加齢医科学研究所
1Department of Neurology, Nagoya University Graduate School of Medicine
キーワード:
帯状疱疹
,
herpes zoster
,
水痘帯状疱疹ウイルス
,
varicella zoster virus
,
運動麻痺
,
motor paralysis
Keyword:
帯状疱疹
,
herpes zoster
,
水痘帯状疱疹ウイルス
,
varicella zoster virus
,
運動麻痺
,
motor paralysis
pp.305-312
発行日 2021年12月10日
Published Date 2021/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201629
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はじめに
水痘帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus:VZV)はαヘルペスウイルス亜科に属するDNAウイルスで,ヒトにのみ自然感染することが知られている8).VZVは,Tリンパ球,上皮細胞,神経節を主な標的とし,一次感染すると水痘をきたし,その後神経節の神経細胞内に主に潜伏する.VZVに対する細胞性免疫が加齢や免疫不全によって低下すると,VZVは再活性化して帯状疱疹を引き起こす8).また,帯状疱疹に関連して,神経痛,髄膜脳炎,小脳炎,脊髄炎,血管症などさまざまな神経合併症が出現し得る8,11).帯状疱疹に伴う神経合併症の1つとして髄節性の運動麻痺がみられることが古くから知られており,1866年にBroadbentが右上肢に運動麻痺をきたした症例を初めて報告した3,35).1972年にThomasら35)はMayo Clinicで診断された帯状疱疹患者から運動麻痺合併例を見出し,この病態をsegmental zoster paresis(帯状疱疹に伴う髄節性運動麻痺)と呼称した.Segmental zoster paresisは髄節性分布の運動麻痺を呈する疾患として,頸部や腰部の神経根障害における鑑別診断において重要である.本稿ではsegmental zoster paresisに関する基本事項をまとめる.なお,Thomasら35)によるsegmental zoster paresisの報告では顔面神経麻痺も類似の病態として含めて記載されていたことから,本稿でもそれに準じた.
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