Japanese
English
特集 脊椎・脊髄損傷—診断・治療の最前線と今後の展望
慢性期脊髄損傷患者における臨床現場での課題
Problems and Subjects of Chronic Phase of Spinal Injuries
益田 宗彰
1
,
坂井 宏旭
1
Muneaki MASUDA
1
,
Hiroaki SAKAI
1
1独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, Japanese Organization of Labour Hearth and Safety Spinal Injuries Center
キーワード:
脊髄損傷
,
spinal injuries
,
慢性期
,
chronic phase
,
合併症
,
complications
Keyword:
脊髄損傷
,
spinal injuries
,
慢性期
,
chronic phase
,
合併症
,
complications
pp.945-952
発行日 2020年10月25日
Published Date 2020/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201515
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はじめに
脊髄損傷治療における急性期管理は,救急医あるいは外傷外科医にとってのひとつ大きな山場であるともいえる.外傷・麻痺に伴い激しく変動する全身状態を管理し,骨折・脱臼をすみやかに治療することで,局所のダメージコントロールと麻痺の改善を図ることは,患者の予後を決定するうえでもきわめて重要である.
反面で,世の多くの外傷外科医が携わることの少ない慢性期管理こそが,脊損医療の本質・医療者の腕の見せ所であると筆者は考えている.障害の生じた脊髄損傷患者は,十人十色といってよいほど,麻痺の状態もADL能力も異なっている.その1人1人にフィットする形でリハビリテーションプログラムを組み,社会復帰のための環境整備を行い,1つでも「できること」を増やしたうえで退院を迎えることができたときの達成感は,そこに至るまでに要した期間の長さも相俟ってひとしおである.
本稿では,慢性期脊髄損傷患者に特有の問題点や課題,今後期待される新しい治療方法などにつき述べる.
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