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特集 脊椎脊髄疾患に対する分類・評価法
第1章 頸椎
Myelopathy handと頸髄症の重症度評価
Myelopathy Hand and Severity Evaluation of Cervical Myelopathy
岩﨑 幹季
1
,
長本 行隆
1
,
奥田 眞也
1
Motoki IWASAKI
1
,
Yukitaka NAGAMOTO
1
,
Shinya OKUDA
1
1大阪労災病院整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Osaka Rosai Hospital
キーワード:
痙性手
,
myelopathy hand
,
圧迫性頸髄症
,
compression myelopathy
,
錐体路障害
,
pyramidal tract sign
Keyword:
痙性手
,
myelopathy hand
,
圧迫性頸髄症
,
compression myelopathy
,
錐体路障害
,
pyramidal tract sign
pp.307-309
発行日 2020年4月25日
Published Date 2020/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201355
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はじめに
“Myelopathy hand”という用語を小野ら3)が初めて使用したのは,1982年に出版された「Myelopathy handと頸髄症の可逆性」という論文においてである.それまで尺骨神経麻痺や橈骨神経麻痺などの末梢神経麻痺による手の異常や片麻痺の手はよく知られていたが,「頸髄症に特徴的な手の変形」といった概念は当時存在しなかった3,6).小野らは頸髄症患者の手の症候に関する系統的研究を行い,この症候を頸髄症に特有の手という意味で“myelopathy hand”と呼ぶのが妥当であり,その本態は錐体路障害であることを報告した1,3〜5).
・Myelopathy handは,尺側に優位に現れる指離れの現象と緩徐な指の握り・開きを特徴する症候である.
・Myelopathy handは,さまざまな原因による圧迫性頸髄症で認められる特有の症候であり(神経根性の障害では通常認められない),全身性の脊髄変性疾患,精神的な病態などとの鑑別に有用である.
・痙性下肢麻痺が存在するもmyelopathy handの所見が認められなければ,責任病巣は頸胸椎移行部以下に圧迫病変があることを示唆する.
・Myelopathy handは,頸髄症の進展につれて陽性率が増しかつ特徴があらわとなり,尺側から始まる指離れ徴候(finger escape sign:FES),10秒間の握り・開き回数(10秒テスト:grip and release test)ともに頸髄症の重症度とよく相関する.
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