特集 脊柱靭帯骨化症UP TO DATE
特集にあたって
山崎 正志
1
1筑波大学医学医療系整形外科
pp.81
発行日 2020年2月25日
Published Date 2020/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201301
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後縦靭帯骨化という概念が初めて世に出たのは,1960年の月本裕国先生による剖検例の報告による.それに端を発し,重篤な脊髄症状を呈する後縦靭帯骨化症(OPLL)の報告が本邦から相次ぎ,一時は,OPLLはJapanese Diseaseであると考えられた時期もあった.その後,諸外国からも報告がなされるようになり,本症が日本特有の疾患であるという誤解は解かれた.しかし,依然として脊柱管占拠率の大きい巨大な骨化に伴う治療困難例は本邦で圧倒的に多い.
当初,OPLLに関する疫学や病態の多くは不明であり,臨床の現場における診断・治療も混沌としていた.このような状況下,当時の厚生省(現・厚生労働省)が1975年にOPLLを特定疾患(難病)に指定し,同時に「後縦靭帯骨化症調査研究班」(初代班長:津山直一先生)が組織され,脊椎外科を専門とする全国の整形外科医が中心となり,ALL JAPAN体制で研究が開始された.そして,この研究班を中心に多くの情報が蓄積され,診断・治療の進歩につながった.特に,椎弓形成術をはじめとする安定した手術法が開発され,全国に広く普及するに至った.研究事業も1982年に「脊柱靭帯骨化症調査研究班」と名称を変更し,今日まで継続している.
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