特集 頸椎前方手術Up To Date
特集にあたって
山崎 正志
1
1筑波大学整形外科
pp.685
発行日 2018年8月25日
Published Date 2018/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200928
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わが国における頸椎外科の歴史を振り返ると,いわゆる振り子現象のように,前方法が主流の時代と後方法主流の時代が繰り返されて,頸椎外科全体が発展しているように思われる.そして,その趨勢は,欧米のそれとは若干,様相が異なっている.本邦における頸椎外科が独自の発展を遂げていることの主な要因として,病態として2つ,術式として2つ,本邦ならではの特性を挙げてみたい.病態としては,日本人の頸椎の脊柱管が欧米人に比して狭いこと,もう1つは,占拠率の大きい後縦靭帯骨化に伴う重度の脊髄障害の患者さんが本邦で圧倒的に多いことである.術式としては,本邦における椎弓形成術の開発とその隆盛,そして,中下位頸椎(C3-C7)の椎弓根スクリューの開発とその普及である.
わが国の頸椎外科は,当初は,欧米と同様に前方法が主流であった.しかし,脊柱管が狭いことで,前方除圧固定術後の隣接椎間障害に伴う脊髄症の再増悪が多発する結果となった.欧米でも同様に隣接椎間障害は発生していたが,こちらは神経根症が主であったので,本邦ほど深刻な問題とはならなかった.そして,巨大な後縦靭帯骨化を開削する前方法は難度がきわめて高く,本邦の脊椎外科医を悩ませた.
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