特集 脊椎脊髄MRI再入門—これだけは知っておこう
特集にあたって
青木 茂樹
1
1順天堂大学放射線医学教室
pp.13
発行日 2020年1月25日
Published Date 2020/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201282
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今回は,「脊椎脊髄MRI再入門—これだけは知っておこう」というタイトルで,2019年春に東邦大学教授に就任した脊椎脊髄MRIの専門家の堀正明先生とともに,画像関連の特集を担当した.MRIの臨床応用は1980年初頭から始まったので,ほぼ40年近く経て,個々の疾患の所見についての理解は深まっているが,実践的な総論部分の解説は意外に不足していると感じていた.今回は,MRIの原理の解説は必要最小限にとどめ,実践的な脊椎脊髄の総論(技術)的部分を概説するという趣旨で企画を行った.
まず,脊椎脊髄MRIはアーチファクトが多く,動きもあるため,技術的な知識があると落とし穴(ピットフォール)に陥らないで済むことが多い.アーチファクトをあえて列挙すると,呼吸や拍動や患者の動きなどによる位相エンコード方向に生じる繰り返す偽像phase-encoding moving artifact(blurring artifact, ghost artifact),流れによる信号低下flow void,水と脂肪の共鳴周波数の違いによる境界面での線状信号chemical shift artifact,分解能が不十分な場合に脊髄の中央付近にみられる線状構造Gibbs artifact,FOVを大きくすることによる辺縁の歪み増加,FOV外のコイル感度外構造が映り込んでしまう折り返しアーチファクト,脂肪抑制の際の感度ムラと周波数ずれによる脂肪と水の抑制のずれや逆転,などがある.
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