特集 脊椎脊髄の感染・炎症
特集にあたって
堀 正明
1
,
青木 茂樹
1
1順天堂大学医学部放射線診断学講座
pp.533
発行日 2015年6月25日
Published Date 2015/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200150
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脊椎脊髄の感染・炎症は,臨床において重要な疾患ですが,その診断そのものは,本文中で稲岡努先生が指摘されているように,画像診断を含め難渋することがしばしばあります.その理由としては,診断特異性が低いことや,画像,臨床像ともに多彩な像を呈し得ることが挙げられます.また,頻度としてはいわゆる変性や変形性疾患に比して圧倒的に少なく,「疑わなければ,感染・炎症を診断できない」といった状況もしばしばあると思われます.しかし,診断から治療というプロセスにおいて,感染・炎症性疾患は「早さ」が重要であるのはいうまでもありません.亀井聡先生の項目の「はじめに」の中に,神経学的救急疾患という表現がありますが,まさに的を射たものです.1回の診断のチャンスを逃せば,数日あるいは下手をすれば数時間後に症状は増悪し,当然ながら予後にも影響することとなります.
上記のような背景をもとに,今回は特に脊椎脊髄の感染・炎症の診断や機序といった観点から,さまざまな科の専門家の先生方に,執筆,解説をお願いしました.もちろん治療に関しても言及されています.画像所見の項目からは,典型的なものや頻度の高いもの,特異性の高いものなど,実際の診断のポイントがよく理解できるものとなっていると思います.また,椎間板の炎症の機序や血液データ,髄液所見に関する詳細な解説,そしていまだに重要な疾患である結核に関する項目は,いずれも脊椎脊髄の感染・炎症を理解するうえで非常に重要,かつ診療上必要なものと思います.結果として本特集は,さまざまな観点から,総合的にかつ正確に脊椎脊髄の感染・炎症を診療するうえで有用なものとなったと考えています.
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