加齢に伴う傍脊柱筋変性と脊柱アライメント変化の疫学—大規模住民調査の結果より

Changes of the Paraspinal Muscles and Spinal Alignment with Aging: Knowledge from a Large Population-based Cohort

はじめに

　高齢化が進むわが国においては，国民の健康寿命を増進するためにも運動器疾患の早期治療や予防のストラテジーを立てることが喫緊の課題である．そのため，運動器疾患を標的とする疫学の重要性が見直されている．運動器の加齢変性過程すなわち自然経過を学ぶことは，疾病と正常の境界を見定めることや疾病の要因を明らかにするためにも役立つ．成人脊柱変形の発生や進行には傍脊柱筋変性が少なからず関与するものと推察されるが，その実態は不明である．本稿では，和歌山県内において進行している大規模住民調査The Wakayama Spine Studyの横断データから，傍脊柱筋と脊柱アライメントの性別・年齢階級別統計値を示し，両者の関係について考察する．