特集 Neuralgic amyotrophyとは
特集にあたって
亀山 隆
1
1中部ろうさい病院神経内科
pp.459
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200871
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Neuralgic amyotrophy(NA)とは何か,明確に答えることはできない.病因や病態が確立されていない本疾患の疾患概念は,曖昧ではっきりと定まっておらず,神経内科領域,脊椎外科領域,手の外科領域,それぞれの中でも捉え方や見解が異なり混乱があると思われる.個人的経験では,頸部の神経根障害の経験の少ない神経内科医は,肩甲部の疼痛後に上肢帯の筋萎縮をきたしたC5神経根障害例をNAと診断している場合が多く見受けられる.また,肩甲部痛後の手指の伸展障害をきたすC8神経根障害例をNAと診断していることもある.頸部の神経根障害のMRI診断が容易ではないためもあり,神経内科医はNAとは何かを深く考えずに,安易にNAの診断をつけやすい傾向があるように思われる.
NAの責任病巣については,日本末梢神経学会の臨床診断ガイドラインでは,腕神経叢やその分枝を推定している.翻って1948年のParsonageとTurnerによるNAの原著論文では,病因は不明ながら長胸神経,腋窩神経,肩甲上神経などの(多発性)単神経障害やC5,C6の神経根障害が推定される症例が多いことを記載しているのみで,病巣を腕神経叢と規定しているわけではない.病因については,特に神経内科においては腕神経叢における免疫介在性の末梢神経炎を推定して,治療として副腎皮質ステロイドに加えて免疫グロブリン大量静注療法が施行される場合がある.
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