Japanese
English
特集 脊髄ニューロモデュレーションの現状
便失禁に対する仙骨神経刺激療法(sacral neuromodulation:SNM)
Sacral Neuromodulation for Fecal Incontinence
山名 哲郎
1
Tetsuo YAMANA
1
1東京山手メディカルセンター大腸肛門病センター
1Department of Coloproctology, Tokyo Yamate Medical Center
キーワード:
仙骨神経刺激療法
,
sacral neuromodulation
,
便失禁
,
fecal incontinence
,
尿失禁
,
urinary incontinence
Keyword:
仙骨神経刺激療法
,
sacral neuromodulation
,
便失禁
,
fecal incontinence
,
尿失禁
,
urinary incontinence
pp.65-69
発行日 2018年1月25日
Published Date 2018/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200784
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はじめに
仙骨神経刺激療法(sacral neuromodulation:SNM)は,刺激電極を仙骨神経の近傍に埋め込んで仙骨神経を持続的に電気刺激する治療法で,1982年にTanagho,Schmidtらが尿失禁の患者に対して初めて試みたことが報告されている17).1995年にはドイツのMatzelら13)が3人の便失禁患者に対して初めてSNMを施行して便失禁の症状改善に有効であったことを報告し,EU諸国では排便・排尿障害の治療法として多数の専門施設でSNMが実施されるようになった.米国食品医薬品局(FDA)も1997年に尿失禁の治療法として承認しており,また120人の便失禁の患者を対象とした前向き多施設共同研究で改善率が85%であったことが報告されたことから21),2011年から便失禁の治療法としてもSNMを承認している.このような背景をもとに,欧米ではこれまでに25万人以上の便失禁や尿失禁の患者においてSNMが実施されている(図1).
本邦では,2011年に実施した便失禁に対するSNMの前向き多施設共同研究で86%の有効性が示され22),2014年4月に便失禁の治療法として保険収載されるに至り,現在は実施基準を満たした医師によって全国的に施行されている.また,2017年9月には過活動膀胱による尿失禁の治療法としても保険収載され,全国的な実施が始まっている.本稿では,便失禁に対するSNMの作用機序,患者選択,安全性,およびSNMの手技について概説する.
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