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特集 悪性脊椎脊髄腫瘍に対する治療
原発性悪性脊椎腫瘍に対する陽子線治療
Proton Beam Therapy for Primary Malignant Spinal Tumors
出水 祐介
1
Yusuke DEMIZU
1
1兵庫県立粒子線医療センター放射線科
1Department of Radiology, Hyogo Ion Beam Medical Center
キーワード:
陽子線治療(proton beam therapy)
,
原発性悪性脊椎腫瘍(primary malignant spinal tumor)
,
骨軟部肉腫(bone and soft tissue sarcoma)
Keyword:
陽子線治療(proton beam therapy)
,
原発性悪性脊椎腫瘍(primary malignant spinal tumor)
,
骨軟部肉腫(bone and soft tissue sarcoma)
pp.683-688
発行日 2017年7月25日
Published Date 2017/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200669
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はじめに
原発性悪性骨軟部腫瘍は,年間に発生する全悪性腫瘍の1%未満という非常にまれな腫瘍である14).根治的治療の第一選択は外科的切除であるが,部位によっては困難なことも多い(頭蓋底,脊椎,骨盤部など).切除不能例または不完全切除例に対する選択肢の1つが放射線治療であるが,従来の放射線治療(X線治療)は,単独では原発性骨軟部腫瘍に対する効果は不十分と考えられており,主として術前照射または術後照射として用いられてきた2,5).
近年,陽子線治療や炭素線(重粒子線)治療といった粒子線治療の原発性骨軟部腫瘍に対する有用性が多数報告されている.粒子線治療はX線治療と比べて線量集中性に優れており,重要臓器への線量を最小限に抑えながら,腫瘍へ高線量を照射することができるため,単独でも原発性骨軟部腫瘍に対する効果が十分期待できるからである.また,切除と組み合わせることで重要臓器に近接した腫瘍でも根治を狙うことができる.
本稿では,原発性悪性脊椎(仙尾骨を含む)腫瘍に対する陽子線治療について考察したい.
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