Japanese
English
今月の主題 腸管アフタ様病変
序説
アフタ様腸病変―to be, or not to be
Introduction: Aphthoid Lesions of the Intestine: to be, or not to be
長廻 紘
1
Kou Nagasako
1
1東京女子医科大学消化器病センター
pp.383
発行日 1993年4月25日
Published Date 1993/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106137
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アフタ様潰瘍は消化器病学,特に診断学でよく使われる術語であるが,必ずしも定義がはっきりしていない.多発する微小潰瘍とほほ伺義語的に用いられている.しかし,微小であるので潰瘍よりびらんとすべきである,ほぼ同じ病理的変化で発赤のみのものもある,などといった理由から,アフタ様病変という,より拘束力の少ない言葉を選び,そのような病変を整理して,できればすっきりした使いやすいものにしよう,あわよくば診断に有効なdiagnosticな所見であることが明らかにできるかもしれない,というのが本特集のねらいである.
アフタ様と言う以上は,アフタというものが確固としたものでなければならない.文末に示すようにDorlandのMedical Dictionaryにははっきりulcerと記してある.すなわちアフタ自体が潰瘍を意味する.そうするとアフタ様潰瘍とは奇妙な用語である.回盲部の単純性潰瘍を消化性潰瘍に似た潰瘍ということがあるが,これは特殊なものをポピュラーなもので説明するわけだからおかしくない.しかし英語にもaphthoid ulcerがあるし,深く考えないことにする.アフタ様大腸炎という言葉もあるが,これもアフタ(様病変あるいは潰瘍)のある大腸炎とすべきであろう.“アフタ様大腸炎”がアフタにまつわる日本における混乱の出発点であったような気がする.新しい術語に対しては学会なり学会誌なりがよく検討してほしかったと今から振り返ると残念な気がする.
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