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はじめに
頸椎部での脊柱変形は,先天性に加えて強直性脊椎炎や関節リウマチなどの炎症性疾患,外傷,腫瘍,感染,変性,医原性などが原因で生じる.うち高齢者では,後弯変形が治療対象となることが多い.一般に,頸椎後弯は脊柱変形と脊髄症がクロスオーバーする病態と考えると理解がしやすい(図1).すなわち,首下がりに代表されるような高度頸椎後弯を呈して前方注視が困難になる脊柱変形が病態の主たるタイプと,中・下位頸椎で13度以上の局所後弯を合併し6),脊髄が局所後弯の頂点で前方より圧迫を受け脊髄症状を呈しているタイプ,あるいは両者の合併である.
一般に,頸椎固定材料として,頸椎椎弓根スクリュー(cervical pedicle screw:CPS)に代表される後方インプラントは頸椎用前方プレートと比較して固定力で優ると報告されており3),本疾患に対してはCPSを用いた頸椎後方再建固定術が第一選択の術式と考えて異論はないであろう.加えて,後弯矯正が後方手技だけでは不十分なケースに対しては,適宜前方解離などの手技を併用することで対処することが可能である.本邦では,欧米や韓国と異なり,強直性脊椎炎による頸椎後弯が少ない反面,椎間板変性,すなわち多椎間での椎間板高の減少や椎体すべりが頸椎後弯の原因となる症例が多くみられるが,変性が病態の基盤にあるため,脊柱管狭窄や椎間孔狭窄などを合併しているケースが多く,後弯矯正時に脊髄障害やC5麻痺などの神経障害を生じるリスクがおのずと高くなる.われわれは本疾患に対して,より安全に矯正固定を行うためのアルゴリズムを作成し,それに準じてCPSを用いた頸椎矯正固定術を行っているので,手術成績と併せて報告する.
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