Nomade
山登りの経験に思う
貴船 雅夫
1
1岩国市医療センター医師会病院整形外科
pp.157-158
発行日 2017年3月25日
Published Date 2017/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200559
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10年ほど前,45歳の頃から,健康増進目的で職場の「あるき隊」というサークルに参加するようになった.ふだんは近隣の里山に登り,連休などにはウォーキングイベントに参加したり,屋久島縄文杉,石見銀山街道,熊野古道などの世界遺産や,竹田城址,別子銅山産業遺産群,尾瀬などの名勝史跡を歩いてきた.体を動かし汗をかいたあとに温泉に入るのはとても気持ちがよく,また訪れた先々でその地のお酒やおいしい料理が食べられるのも楽しみの一つであった.このサークルでは富士山や西日本最高峰の石鎚山,同2位の剣山,九州最高峰の宮之浦岳などにも登ってきた.いずれも初級か簡単な中級までの無理なく登ることのできる山々であった.それでも私は登るたびに下肢の筋肉痛になっていた.
5年ほど前,紅葉狩りを兼ね伯耆大山(1,729m鳥取県)登山に出かけた.この山は中国地方の最高峰ではあるが地元の小学生の遠足先にもなる初級者向けの山である.11月2日に車で山口県を出発し鳥取県へ.伯耆富士とも呼ばれるその姿が見えるようになると山頂は雪でうっすら覆われているのがわかった.そのとき,山頂まで登ることができるのか不安がよぎったが,これから登る山への興奮で一瞬のうちにかき消されてしまった.翌朝,秋のひんやりとした空気の中,泊まった宿のご主人の案内のもと夏山登山口(標高750m)から登り始めた.私たちは水や非常食やお菓子,弁当,タオルやカメラなどを小さなリュックに入れて背負っていたが,案内人は40lの大型のリュックを背負っていた.後ろをついて歩きながら,中に何が入っているのであろうと不思議に思っていた.
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